Last Updated on 2021年5月28日 by ジョブメンズラボ
こんにちは!最近、根性論系FPになりつつあるしんちゃんです。今回は「お父さんが教える13歳からの金融入門」(デヴィット・ビアンキ著、関美和訳)を読んだ感想を紹介したいと思います。将来、お子さんに金融リテラシーを身に付けてほしい30代パパたちにはもちろん、誰かにお金の話を分かりやすく説明するスキルを身に付けるのにも役に立つ良書でした!
本記事の内容
- とりあえずお金について勉強したいけど、何から読んだらいいか分からない30代におすすめ
- 知識習得だけでなく、分かりにくい金融の概念を他人に分かりやすくに説明する力も身に付く
- 特に「オプション」と「企業分析」の章は分かりやすいので必読!
この本の概要
元々は著者が自分の13歳の息子に対して、お金や株式や投資について教えようと筆を取ったのがきっかけで、それを一般向けに執筆されたのが本書です。日本では2016年に初版が発行され、今年の7月まで増刷が続いているので、読んだことがある人もいるのではないでしょうか。100個ほどに及ぶ知っておくべき金融のトピックを、かみ砕いた語り口で説明しています。挿絵も所々入っており絵本のような体裁なのですが、扱っているトピックは以下の通りで結構本格的です。
- 為替、お金の支払い
- 株式市場(ウォール街、株、ビッド/アスク、IPO)
- 株売買(ブル/ベア、リスクオン、オフ)
- オプション、ファンド、債券、譲渡性預金
- 企業分析、ローン、金利、税金
- ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティ
13歳どころか30歳でも、ちゃんと理解して説明できる人は少ないんじゃないでしょうか?
お勧めの章
金融入門書なので、全体的に入口の部分だけを説明し、あとは興味がある方は自分で勉強していきましょう、という本なのですが、しんちゃん的に世界一わかりやすい説明だ!という章があったので、抜粋して少し紹介します。
「オプション」
少し株式を勉強したことがある人なら「オプション取引」については知っている人も多いと思います。金融機関のサイトなんかで説明されてるんですが…
日経225オプション取引とは、あらかじめ定められた期日(満期日)にあらかじめ定められた価格(権利行使価格)で日経平均を買い付ける、または売り付ける権利を売買する取引です。また、「売る」権利のことを「プットオプション」、「買う」権利のことを「コールオプション」といいます。
マネックス証券ホームページより引用
定義だけ見ても、意味わからないんですよね。FP試験ではオプション取引の細かい問題とかは出てこないんですけど、証券外務員の試験では当たり前ですが、出てきます。正直、当時私は売る権利、買う権利としか覚えず、試験は気合で乗り切りました。それが、この本ではめちゃくちゃ分かりやすく解説しています。
・たとえば、アップルのプットを買うと、あとでそのプットの売り手に、市場価格より高い値段でアップル株を売れるかもしれない。
・アップルのコールを買うと、あとでそのコールの売り手から、市場価格より安くアップル株を買えるかもしれない。オプションを持っていれば、いざというときの備えになる。売りたいときに市場価格より高く売れる。または、買いたいときに市場価格より安く買える。ウォール街では毎日そんなことが起きてるんだ。
「お父さんが教える13歳からの金融入門」第5章「オプション」より引用
というような語り口で、この章が始まります。自転車の売買の話を例えに、プット/コールオプションの説明が続きます。
「プット」の場合、ざっと言うと、1万円が妥当な市場価格の自転車を1万2千円で売りたいとき、たとえば 千円で誰かから「プットオプション」というものを買います。これは「どんなに自転車の相場が変動しようと相手に1万2千円が売れる権利=売る権利」になります。自転車の売り手は最低価格の保証=安心を得られ、買い手は千円のお金を得ることができる。その後、自転車が1万4千円に値上がりすれば、自転車の売り手はプットオプションを放棄し、満足のいく価格で売ることができるし、自転車の当初の買い手(プットオプションの売り手)は何のコストもかからずに千円の収益が得られるわけです。もちろん、その後自転車が値上がりしなかった場合は、プットを行使すれば、相場1万円の自転車を1万2千円買うことになってしまうので、相手はリスクを負っていることにもなりますが(ちゃんと理解してみたい方は、ぜひ本書を読んでくださいね)。
しんちゃん的にはとても分かりやすかったです。外務員の参考書とは何だったのかと思いたいです。語り口や情報量のせいか、素直に腹落ちしやすく、そのまま人に説明できるような明快さがあります。この本を読んだことで、人に何かを説明するときに、語り口や言葉選びに気を付ける、自分が知っているからといって必要以上の情報量を加えない、といったスキルの重要性を改めて感じました!
「企業分析」
もう一つ、分かりやすかったのは企業分析の章です。プロの運用者が銘柄選びの際に基準にしているものの一部を、以下のように上げています。
- 株価
- 株価収益率(PER)
- 過去の業績
- 市場シェア
- その会社の商品の市場全体
- 新しいテクノロジー
- マクロ経済の影響
- 清算価値
- 経営陣
- 買収の標的になるか?
- 知的財産
- 配当があるか
言葉だけ並べると、なんとなくはわかるよ!といった感じですが、一個一個の解説が易しい。例えば株価収益率なんかは以下の説明。
株価収益率(PER):(中略)その株が割安かどうか見る指標だ。ダウ平均のPERにくらべて高いだろうか、安いだろうか?PERが10倍から15倍なら、かなり割安だと思っていい。もし50倍だったら、ありえない倍率だし、本当にきちんとした理由がないとそんな割高な株には手を出さないほうがいいかもね。
「お父さんが教える13歳からの金融入門」第8章「企業分析」より引用
PERくらいであれば、市販の金融書籍でもわかりやすい説明はたくさんあるのですが、やっぱり本書の語り口はわかりやすいです。ちなみに、以前に読んだ「教養としての投資」にも投資すべき銘柄を選ぶ際にPERや参入障壁が高いかなど色々切り口が書かれていました。勉強にはなったのですが、他人に説明するときには、今回の本の感じを真似てみようと思います。
まとめ/しんちゃんの野望
今回は、「お父さんが教える13歳のための金融入門」を読んだ感想をご紹介しました。私自身もこの本で学んだ説明の仕方などを参考に、すぐに実生活に活用していきたいと思ってます。実は、数週間前にこんな出来事がありました。
先輩!最近お金の勉強されてるんですよね。私も興味あるんです。将来のために運用したいんです。友人も株を売買して数万円儲かったって言ってたんです!
資産運用は勉強し始めたけど…株?いや「将来のための資産運用」だったら個別株売買なんて、やめなさい。やるならインデックスを積み立てしなさい(仕事より本気のトーンで)。
百歩譲って投機的な短期間での売買でも自身でギャンブルと割り切ってるならいいんですが、さも勉強したら株で儲けられるみたいな感じだったので、ちょっといろいろと自分で勉強したことを教えてあげたくなりました。そんな流れで、近々会社の若手メンバーで資産運用の勉強会をすることになったんです。せっかくの機会なので、若手の投資家マインド醸成&しんちゃん(将来FPセミナー講師としての登壇を目論んでいる)のプレゼンスキル向上を目標に、この本で得た金融リテラシーを分かりやすく伝える話法を実践してみたいと思います。勉強会報告はまた後日記事としてまとめます!