【書評】Salesforceの営業が学ぶ『チャレンジャー・セールス・モデル』とは?

Last Updated on 2021年1月29日 by ジョブメンズラボ

こんにちは!よっすーです。

今回はGAFAに負けず劣らず急成長を続けるSalesforceの営業担当者が研修を受ける『チャレンジャー・セールス・モデル』(ブレント・アダムソン 、マシュー・ディクソン著)について、研修の基礎となっている書籍を読了したので紹介します。MBA取得済の私も「経営学」について学んできましたが、「営業」は奥が深い!そしてこの本は営業担当者だけでなく、個人の生存戦略として「ギブ」をしていくべき全ての30代に必見の内容です!

本記事の内容

  • 関係構築型ではもう成果は出ない!チャレンジャー型こそ目指す営業担当者の姿!
  • チャレンジャー・セールス・モデルの要点は「指導」「適応」「支配」
  • チャレンジャー・セールス・モデルは営業担当者だけでなく、個人の生存戦略として「ギブ」を志向するあらゆる個人に参考になる

要約

営業担当者の5つの分類

まず、本書では営業担当者を以下の5つに分類しています。この分類は全世界90社の現場営業マネジャー数百人に、部下のうち3人(平均的パフォーマー二人と花形パフォーマー一人)の44の属性について評価してもらった結果から、因子分析を行ってグループ分けしたとのこと。

ハードワーカー(勤勉タイプ)読んで字のごとし。このタイプの販売員は朝早く出勤し、夜遅くまで居残り、つねにもうひとがんばりを惜しまない。自発性に富み、簡単にはあきらめない。
チャレンジャー(論客タイプ)顧客のビジネスを深く理解しており、顧客企業の競争力アップについて指導する。人とは違う、論議を呼びそうな見解であっても臆する事なく提案する。
リレーションシップ・ビルダー(関係構築タイプ)顧客の組織と強力な関係を築き、顧客の組織のあちこちに賛同者を確保する。親しみやすさとサービス精神が売り。
ローンウルフ(一匹狼タイプ)自信家でルールよりも自身の直感に従う。多くの点で「気難し屋」であり、思い通りに行動できないくらいなら何もしない。
リアクティブ・プロブレムソルバー(受動的な問題解決タイプ)細部に目を配る、信頼できる販売員。営業活動の過程でした約束は全て守ると考え、販売後のフォローアップを重視する。
『チャレンジャー・セールス・モデル』から抜粋し著者作成

よっすー

私は関係構築タイプかなぁ。会社の先輩とか後輩でなんとなくそれぞれのカテゴリーに当てはまりそうな人が浮かぶ。

さて、この調査によると明らかにこのタイプ別で勝者と敗者がはっきりしているようです。結論からいうと、チャレンジャータイプと一匹狼タイプがハイパフォーマーの比率が高く、ハードワーカータイプ、受動的な問題解決タイプ、関係構築タイプはハイパフォーマーの比率が低いとのこと。ちなみに関係構築タイプがもっとも比率低め・・・・

従って、本書でも以下のように問題提起されているわけです。

営業とはすなわち関係づくりとわれているが、この10年、そうしたリレーションシップ営業はかつてほど効果をあげていないように見える。

引用元:『チャレンジャー・セールス・モデル』

チャレンジャーの特徴

ではそんなチャレンジャーってどんな人が該当するのか。上記の調査の44の属性のうち、以下の6つが統計的に有意だったそうです。

  • 顧客に独自の視点を提供する
  • 双方向コミュニケーションのスキルに優れている
  • 顧客のバリュードライバー(価値向上要因)を心得ている
  • 顧客のビジネスの経済ドライバー(業績促進要因)を特定できる
  • お金の話をいとわない
  • 顧客にプレッシャーをかけることができる

そしてこの6つの属性を3つのカテゴリーにまとめると「指導」「適応」「支配」という三つのスキルが浮かび上がってくるのです!

チャレンジャーにカギとなるスキル「指導」「適応」「支配」

チャレンジャー

チャレンジャーがいったい何をしているのか。本書では以下の3つの切り口でまとめられています。

「指導」

まず、本書ではいわゆる「ソリューション営業」に警鐘を鳴らしています。なぜなら、そもそもソリューション営業は誤った仮説に基づいているということです!それはつまり「顧客は己のニーズを知っている。われわれが訊く力を磨きさえすれば、おのずと明らかになる」というもの。顧客は既に承知しているニーズを販売員に発見してもらうことなど全然望んでいない、チャレンジャーは「指導」をしているとのことです。

よっすー

その仮説持ってしまっている人がうちの社内には私含めかなりいる・・・。

そしてその結果、ソリューション営業が顧客からは「そう!おっしゃる通り」という反応を得て満足している一方で、チャレンジャーはまったく違う反応、つまり「え?そんなふうに考えたことなかった」という反応を得ているそうです(ちなみに前者は「顧客の理解の再構成」で後者は「新しいインサイトの提供」)。

ではその「え?そんなふうに考えたことなかった」という反応からどのように成果へと結びつけているかというと主に以下の3つのステップのようです。(本書では6つだけど要約)

  • まったく新しいインサイトを顧客に提供する
  • そのインサイトの効果を明確にし、自分たちの問題としてとらえさせる
  • そのインサイトに従って行動する最善の手段として、自社のソリューションを紹介する

よっすー

なかなかハードル高そうだけど。言いたいことわかる。

「適応」

チャレンジャーは相手組織の成果を考え、「適応」しているとのこと。

ここでいう「相手」には以下の3つの種類に分けれます。

  • 意思決定者
  • インフルエンサー(購買決定に影響を持つ人)
  • エンドユーザー

ここで多くの営業組織は”意思決定者”に働きかけるよう指導するものの、その”意思決定者”にアンケートを取ると重要視しているのは「他の自社社員も支持しているかどうか」だとのこと。つまり、結局上記の幅広い関係者から支持をえられなければ成果にはつながらず、その努力をチャレンジャーは怠らず、「適応」しているとのこと。そしてそのための方法として、チャレンジャーは”インフルエンサー”にインサイトを提供しているのです!

「支配」

そして「支配」。これは英語だと「Control」なのかなと思いますが日本語だとかなり強烈に聞こえますね。

本書では「支配」とは、「お客に無理強いができる」こと、そして「営業プロセスの初めから終わりまで勢いを持続できる」ことと定義しています。特に、関係構築タイプを引き合いに出して以下のように説明しています。

受動的な行動パターンとは、読んで字のごとく、他人の要求に屈しやすく、人当たりの良い言葉を使い、自己の領分を顧客に侵させる。これは「関係構築」タイプ。一方で攻撃的な行動パターンとは、他人の領分を平気で侵す、プロ意識を犠牲にして目標を目指す、きつい言葉を使う

引用元:『チャレンジャー・セールス・モデル』

よっすー

関係構築タイプのことぼろくそ言うじゃん・・・。

その他、具体的な例示として、価格下げ圧力に対してチャレンジャーは「20%は無理ですが10%なら」ではなく、「20%の値引きで何を達成しようとお考えですか?」のように切り出して「支配」するようです。

その他、本書では「チャレンジャー・セールス・モデル」を組織に浸透するためのマネジャーの役割、その実践方法としてのコーチングなどが体系だってまとめられています。詳細は是非本書を手に取って確認ください!

感想

私にとっての本書

本業では営業企画職である「私」にとってはこの本の記載はたいへん参考になりました。社内で「営業はどうあるべきか?」を議論すると、本当に多岐にわたる意見が出ますが、チャレンジャーの是非を脇においても、タイプを5つに分類するというのは議論の出発点として有効だと感じました。

なお、私の社内の年配の方は「(当方の都合を通すために)お客さんに無理を言えるよう関係構築を」という議論をする人がしますが、何か色々間違ってそうと気づきました。

よっすー

こういうの30代から変えていかなきゃですね!(自信なし)

個人として稼ぐ、生きる方法を模索する30代にとっての本書

先日『あえて数字から降りる働き方』を読みましたが、当該書籍で書かれている個人の生存戦略、あるいは「ギブ」という考え方は『チャレンジャー・セールス・モデル』と通ずるところがあると思っています。それはつまり「指導≒ギブ」という事です。

「指導」ってかなり強い言葉ですが、平たく言えば「新しいインサイトの提供」です。これは「ギブ」でやろうとしていること、つまり「相手のこと考えて、自分の持ってるもの(知っているもの)を提供する」と通底していると思います。

従って、『チャレンジャー・セールス・モデル』は最終的に営業マンとしての成果というゴールを達成するモデルを示しているわけですが、そこで行うべきと言われている内容は我々個人の生存戦略として参考にすべき事も多いと思うわけです。

よっすー

相手の言っていることに「うんうんそう思います」と頷くだけが多い私は関係構築タイプといえますが、それでは他人と有用な関係性は築けないという事ですね。

まとめ

『チャレンジャー・セールス・モデル』について、要約と私が思うところを紹介しました。世界で急成長を続けるSalesforceで研修されているプロフェッショナルな営業モデルについて学びたい人にも、30代が今後どのように生きていくかを考える上でも示唆に富んだ良書です(^^) ☆5つでおススメしますよ!

>30代はキャリアのターニングポイント

30代はキャリアのターニングポイント

どんな会社でも、就職して10年も経つと一通りの手順や全体像が見えてくる。結果、よく言えば仕事に対して余裕が生じ、悪く言えばマンネリに陥ることになる。その時に、現状に甘んじて何もせず、ハンコを押すだけのルーチンワークをするか、それとも常に変化へのアンテナを高くして、いずれ必要となるであろうスキルを磨いておくかで、10年後のポジションは決まる。ジョブメンズラボは「変化へのアンテナを高く」する30代とともに成長していく。

CTR IMG